紙とデータは対立しない。日本特有の複合機の使われ方とは?
―複合機については、ペーパーレス化が進んでいるのもあって市場自体はすでに縮小しつつあるのでは、と体感では思っています。


確かにペーパーレス化は進むと思いますが、それでも紙ならではのメリットがあるので、複合機は売れ続けると認識しています。紙ならではのメリットとは例えば、パソコン上で画面上の資料を見るのと、資料をプリントして見るのとでは、紙の方が視認性が高いといったことや、お客様向けの資料などは今でも印刷される企業が多い、といったことですね。実際にそういった声も多いです。
確かに、紙でプリントすれば視認性も高く、特別なデバイスも必要ありません。加えて日本はハンコ文化と言うこともあり、ハンコを押すために紙で出すというのも一般的です。ペーパーレスが進んでいるといっても、まだまだ紙の需要は消えなさそうですね。

紙のニーズは引き続きあるといっても、複合機はただのコピー機のままではダメだと思っています。
今の若い世代はデジタルネイティブなので、紙の使用率は年々減っていくでしょう。複合機に何らかの付加価値を付け、次のステージに進む必要があると思っています。


今後複合機は、ユーザーの使用状況を集約したビッグデータを元に、ユーザビリティをさらに高め、IoT、クラウド連携といった分野で発展していくと思います。複合機が業務のハブとして使われ、職場のインフラになる時代ですね。

IoTは今まさにキヤノンでも注目している分野です。キヤノンでは、まだIoTという言葉が生まれる前の2005年から、複合機の各種情報を取得して、データ活用を推進しています。具体的な活用例としては、故障を予測して部品を事前交換したり、トナーの消耗情報を利用したトナーの自動配送などの実施などがありますね。今後もさらに力を入れ、IoTによる複合機のインフラ化を推進していきたいと思っています。
すでに2005年の時点から、データ活用を推進していたとは驚きです……複合機ってどこの職場にもあるものなので、これからIoT化がさらに進めば、業務効率化だけではない活用の可能性はまだまだありそうです。
これからの未来を担う、若い世代へのメッセージ

―先ほどデジタルネイティブ世代は紙を使わないというお話がありましたが、そのような若い世代とこれからどう向き合っていきますか?

やはり、デジタルネイティブ世代はすごいなと感じます。私たちが理解できないようなデバイスや、機能をすぐに使いこなしてしまう。どのような購買意欲を持っているのかなど、いろいろと教えてほしいと思っています。キヤノンさんはいかがですか?

キヤノンには「三自の精神」という社訓があるのですが、これは何事も自ら進んで積極的に行い(自発)、自分自身を管理し(自治)、自分が置かれている立場・役割・状況をよく認識する(自覚)姿勢で前向きに仕事に取り組む、という意味です。若い世代には、三自の精神を育める環境をできるだけ提供していきたいですね。

素晴らしいですね。部下に対してでもそうですが、上司と部下の関係を取っ払って、私服で付き合えるような関係になれるといいですよね。安易な世代論で、批判し合うのが一番よくない。世代のギャップは今に始まったことではないですし、うまく共存していけたらいいと思います。

おっしゃる通りです。若い世代と我々の世代が良好な関係を作ることで、若い世代の持つ、何かに打ち込むパワーを引き出せれば、複合機に限らず、より社会に価値を提供できると信じています。
ペーパーレス時代の複合機の役割は、職場のインフラとなることだった。
正直、ペーパーレス化が進んでいるし、複合機の需要ってもうあまりないんじゃないの?と思っていたところもありましたが、複合機がIoTなどのテクノロジーの発展をうまく取り入れられれば、複合機の可能性はむしろ広大だな、と素直に感じてしまいました。今でこそコピー、FAX、プリント、スキャンなどの機能は便利ですが、果たして未来の複合機はどんな機能を備えるのか。今から楽しみですね。
複合機の未来や、世代間の関わり方など、盛りだくさんな対談となりました。お二人とも、本日はありがとうございました。